社会・文化

2016/4/20
1. 社会
(1) 社会情勢の特徴
古くから伝統的中継貿易の拠点となってきた当国は,外国人が人口約130万人の半数を占める国際化された多国籍社会であり,その開放的な社会体制は湾岸地域では希である女性の顕著な社会進出を生んでいる。これまでのところ治安は概ね安定しているが,シーア派住民の居住区内のみ,シーア派反政府勢力と治安機関との衝突及び,治安機関を狙った爆弾テロ事件は,しばしば発生している。他方,これらの一般犯罪に外国人が巻き込まれた事例は少なく,一般的な治安は良いとされている。
 
(2) 労働
政府は,バーレーン人の雇用促進に努めているが,民間部門の労働人口に占める外国人の割合は未だ80%を越えている。民間企業に対しバーレーン人の雇用比率基準を規定,外国人労働者の労働許可手数料値上げ,外国人労働者による就業禁止業種の制定及び外国人不法就労者の取締まりを強化する等,バーレーン人の雇用促進策を講じている。
2008年8月,労働市場規制局(LMRA)により,民間企業に対して外国人労働者一人あたり10BDの課金が導入された。これにより,自国民の相対的コスト競争力を高める一方,その収入を財源にして,労働基金(Tamkeen)により自国民労働能力の強化を図る研修プログラム等が実施されている。他方,当該課金は,外国人労働者を雇う中小企業事業者にとり,過大な負担となっており,ビジネス界の反発は根強い。
また2009年8月,外国人労働者に対し転職の自由を制限するスポンサー制度が廃止され,これにより,外国人労働者は,雇用者に対して離職の意志を一定期間前に表明することにより,自由に転職を行うことが可能となった。
 
(3) 社会保障
貧困者,身障者などを対象とした福祉助成金支給制度がある。また,社会保険制度が1976年に導入された。 同制度はバーレーン国籍者を対象としており,(1)老齢,疾病,死亡,就労中の事故,病気又は出産による一時的欠勤,失業等に係る一時手当の支給,(2)定年退職後の年金の支給にかかわるものがある。保険の原資としては通常雇用者が給与額の10%を,被雇用者が給与額の5%を負担する。なお外国人労働者については就業中の事故を対象とする制度がある。一方,バーレーン財務省が世界銀行と共にバーレーン国民・外国人問わず対象とする健康皆保険制度の設計に向けて取組んでいる。
 
(4) 保健・医療
当国の医療機関には,最新の設備が設置されており,医師も比較的充実している。公立病院では,1回当りの診療費は1BDである。また,自国内での治療が難しい疾患に関しては,政府が渡航費を負担した上で海外への医療渡航を進めてきたところ,近年は医療関係予算が政府にとって大きな負担となりつつあり,バーレーン政府は医療渡航に対する費用負担を原則廃止し,国外の医療専門家を当国に招へいしての治療体制に転換を図ろうとしている。
 
(5) 教育
教育制度は,6.3.3.4制であり,憲法は義務教育を保障している。6歳から15歳までが義務教育であり,高校まで授業料は無償である。近年,バーレーン政府は教育を国家発展のための礎としてその取り組みを強めてきており,教育制度の改革や学校施設の充実を図っている。識字率は91.6%(2010年)である。高等教育機関としては,国立の総合大学であるバーレーン大学やGCC加盟国が共同運営するアラビアン・ガルフ大学等の計5校の公立大学機関と,計13の私立大学が認可・設置 (2012年4月現在) されている。
なお,バーレーン大学においては,「野村バハレーン日本友好ファンド」のイニシアチブにより,1991年から日本語講座が開設されたほか,教育省による日本語夜間講座も開設されており,併せて毎年約100名以上の学生が日本語を学んでいる。


2. 文化
(1) 特徴
他の湾岸諸国と同様にイスラム文化を基調とした文化であり,イラン,インド等アジア大陸の近隣諸国をはじめ欧米諸国との文化交流も活発に行っている。政府は各種文化団体の活動を支援しており,外国人コミュニティによる文化事業も活発に行われている。
 
(2) 主要文化施設
国内の遺跡から発掘された出土品や当国の自然や動植物の分布等を展示した国立博物館,各種コーランの教典やイスラム関連の書物等を展示したコーラン博物館,1932年に湾岸地域で初めて石油が噴出した第1号油井に隣接して石油開発の歴史や掘削機器等を展示した石油博物館の他,約600名収容可能な音楽公演用のカルチャーホール,中東では最大規模(約750名収容可能な大劇場及び150の可動式席を配す小規模のコンサートホールを有する。)の国立劇場及び芸術作品を展示するアートセンター等がある。
また,政府は遺跡の発掘・保護にも積極的に取り組んでいる。紀元前に当地に興ったとされるディルモン文明の遺品や16世紀に当地に侵攻したポルトガル軍の要塞をはじめ多数の遺跡が発掘されており,カルアト・アル・バーレーン(バーレーン・フォート)は2005年にユネスコ世界遺産に登録された。
更に,ムハラク島の一部地域は天然真珠が地場産業であった頃の街並みを保存しており,「バーレーン真珠採取の道」と呼ばれるこの建物群の一部と関連する漁場などが,カルアト・アル・バーレーンに続き,2012年にユネスコ世界遺産に登録された。
 
(3) 宗教
憲法によりイスラム教が国教とされているが,政府は他の宗教に対しても寛容な立場を採っており,国内にはキリスト教教会やヒンドゥー寺院なども設置されている。主な宗教行事としては,イスラム教に基づいた断食(ラマダン月),聖地マッカ巡礼,アシューラ殉教(シーア派)等がある。
 
(4) 報道
ア 新聞
主要日刊紙としては,アラビア語4紙(アフバール・アル=ハリージ,アル=アイヤーム,アル=ワサト,アル=ワタン)に加え,2008年,アル=ビラッドが創刊された。また,英語紙は2紙(ガルフ・デイリー・ニュース,デイリー・トリビューン)が発行されている。
イ ラジオ及びテレビ
テレビ・ラジオ放送は情報省の管轄の下,国営放送局の Bahrain Radio & TV が放送しており,テレビは,3チャンネル(それぞれ衛星でもサイマル放送),ラジオは5つのプログラムを FM局, AM局,短波局を通じて放送している。
 
(5) スポーツ
当国で盛んな主なスポーツは,サッカー,ハンドボール,バレーボール,バスケットボール等であり,企業・クラブのチームによるリーグ戦も行われている。その他伝統スポーツとしての馬術は,王族をはじめ上層階級の間に同好者が多く,馬場馬術に加え競馬も行われている。